資本主義の悪、マルクス社会主義の善? (中編)
国際共産主義の衰退と日本共産党存続の理由
資本主義が悪というイメージが定着することによって、その資本主義と対決するという左翼のマルクス社会主義があたかも善であるかのような風潮が広まってしまいました。
その結果として日本共産党に入党する若者が急増したと言われています。
確かにこの点に関しては認めないわけにはいきません。旧ソ連が崩壊したのは1991年のことですから、今からもう18年も前のことになります。当事のことを知らない若者が多くなっています。なぜ、共産主義国家が消滅してしまったのか?
そのことを当事の状況下でテレビ・新聞などで実際にリアルタイムで見ていた人と、一つの回顧記録のニュース映像でしか見ない人との間には、相当な差が生じるでしょう。あの旧ソビエト連邦の断末魔をリアルタイムで見ていた人ならば、いくら共産党員から甘い言葉で誘われても入党することはないでしょう。
旧ソ連邦に存在したと言われたスターリンやレーニン像は100万を下らないといわれたが、その殆どは庶民によって打ち砕かれた。ドストエフスキーやソルジェニーツィンが罵倒してやまなかった“収容所国家”は瓦解したのです。「チェカ」から「ゲーペーウー」更には、カーゲーベー・KGBに連なる秘密警察の恐るべき暗部も、また白日のもとに晒されることになった。
共産主義によって支配された恐怖の国家は解体されたが、その思想までもが根絶されたわけではなかった。しかし、西欧諸国の共産党もまた勢力を失い、西側最大の共産党として存在感のあったフランスやイタリアの共産党もまた壊滅的打撃を受けた。
では、何故日本の左翼は生き残ったのか?
それは日本共産党が自主独立路線を選択し、ソビエト共産党とある程度の距離を置いて来たからだった。逆に旧ソ連とベッタリで北朝鮮とも親しかった社会党は、社民党と名前を変えながら存続するも消えかかっている。
このような中で日本共産党が生き延び、そして消滅を免れたのは批判勢力としての存在意義をある一定の日本人が許容してきたからであり、共産主義の思想を信じて来たわけでないことだけは明らかでしょう。
つまり、共産主義もまた資本主義と同様に悪であっても、毒には毒を以って制すというように、批判勢力としての役割を担わされたということです。
それから実はもう一つ日本で共産党が西欧諸国の共産党と同じ運命を辿らなかった大きな理由があります。前編でマルクス共産主義の価値として、その掲げた「平等主義」があると書きました。
そして、もう一つ掲げたスローガンが「平和主義」でした。
資本主義の米国が戦争勢力で、その反対に社会主義国家は「平和国家」だという、この詭弁が実は戦後の日本社会には、どういうわけか受け入れられてきたのです。
一見平和に見える日本の現状が、左翼の平和運動によって守られているという大いなる錯覚が、この日本共産党を生き延びらせた理由でもあったのです。
話を前編からの続きに戻すと「不平等で貧しい」国家が「自由で豊かな」国家に勝てないのは自明の理ですが、ここに来て「不自由で豊かでもない」国家であると感じた若い世代が、自由が制限されても「平等」のほうが良いと舵を切ったと考えても不思議ではありません。
しかも、日本共産党は自らが「自由を制限する」とは言ってはいないし、民主主義を口にしています。
共産主義と民主主義は実際に存在した国家体制においては相反するものとなっていたが、そのような国家体制を経験したことのない国においては、民主主義と共産主義とは相反するものではなく、一連の文脈で捉えるべきものとして受け入れられてしまっています。
これはシナ・中国の民主化という言葉と現実の体制による影響が強いと見なければなりません。
シナは民主化を成し遂げたとしており、国内には最低限の自由があるかのごとく内外に見せかけてきた。本当は政治的な自由などないが、商売上の自由があることで、それで民主主義社会が確立されていると思わせてきたのです。
ここで一つの言葉で冷戦の崩壊とソ連共産党の消滅を表すとしたら、私は次のように迷うことなく書き記します。
「失敗した共産国家は少なくとも失敗していない資本主義国家との対比でしかなかった」
つまり、勝負などついていなかったのであって、資本主義国家が失敗すれば今度はまた社会主義は息を吹き返す可能性があったということなのです。
マルキシズムが今、完全に息を吹き返したのか? 或いはただそのように見えるのか、そのことの結論はまだ先になると思います。
決して左翼が善なのではなく、一時的に悪役から外れて善役を演じようとしているのだけは間違いはなさそうです。
この世には既に存在しない歴史上の人物を登場させて、歴史の真実に迫る〜トマスおじさんのやぶにらみ放談〜を前にも紹介していますが、今回は旧ソ連の独裁者スターリンです。是非ご覧になって下さい。かなりの長文ですので覚悟してお読み下さい。
http://www.flavour-house.com/honky/message/index2.html
※エントリーの本文に出てきたソ連の秘密警察であるGPU(ゲー・ペー・ウー)やソルジェニーツィンの『収容所群島』などもこちらをご覧いただければと思います。詳しく説明が載っています。
〜新風連ブログ〜




