ネット右翼は単なる憎悪の表出?
宮崎哲弥(みやざき・てつや)という評論家をテレビでよく見かける。レギュラー出演番組も多数あるようだ。爆笑問題が出ている番組では常連だ。この宮崎氏が10日の朝日新聞の文化紙面の中で書いていた。
進む保守思想の空疎化
「新たな敵」を求めて錯乱 現実主義すら失調
「この十年は戦後保守の最盛期だった。保守的な言説が広範に浸透し、日本の政治基軸は確実に右にシフトした。だが皮相な盛況な影で、思想内容の空疎化が進んでいるのではないか。90年代末辺りから保守陣営内で囁かれはじめた危惧が、今現実の危機として露呈しつつある」
この書き出しの文章を読んだだけで、今後の内容が容易に推察される。なぜなら「皮相な…影で…空疎化…危惧が…現実の危機と…露呈しつつ」と否定的な言葉が並びたてられているからだ。
彼は「色褪せた『反共』の旗印」との中見出しのついた文章で次のように言っている。
「東西冷戦の終結…などの時代を経て、保守をめぐる環境は大きく様変わりを遂げた。左翼理念の失墜、革新勢力の退潮に従って『反共』という旗印が色褪せてしまい。『〜に対する保守』という大きな枠組みが揺動し始めた。…彼らは関係概念としての保守のあり方に不満を抱き、自生的、体系的な「主義」への再編を目指した。『〜に対する保守』から『〜に向かう保守』への脱皮を思考していたのである」
それが「伝統」や「慣習」を反省的に捉え直し、再提示することに努力したが、その理解や支持は十分に拡がらなかったと結論付けている。
私は「反共」という旗印が色褪せたとは全く思わない。いやむしろ、その輝きはこれからより増して行くことだろう。共産中国、北朝鮮という共産主義独裁国家、ノ・ムヒョン現韓国左派政権に対峙しなければならない我が日本にとって、「反共」というイデオロギーが色褪せることなどあり得ない。
もし、これを色褪せたとして国民に過小評価を迫る評論こそ、そこに共産主義への支援を込めた意図的なまでの策略を感じない訳にはいかない。共産主義の現実的な脅威から目をはぐらかしているようにしか見えないのだ。
反共=保守ではない。しかしながら共産主義が「伝統・文化」に挑戦するイデオロギーである以上、保守が「反共」の旗印を捨てるなど考えられない。保守と極右もまた多くの共通点を持ちながら、「反共」一つ取っても微妙に違う。
保守は日本という立場から「伝統・文化」を守るための「反共」でしかない。勿論そこは考えは同じだ。しかし、我々《極右》は世界的視野に立った場合でも、守るだけでなく、攻め滅ぼす思想として共産主義を捉える。
つまり、共産主義に蹂躙されている民衆の解放である。共産主義とは反対するだけでなく、永久にこの地上より抹殺しなくてはならない思想である。「反共」から「滅共」への転換こそ我々に課せられた神聖な義務と考える。
さて、ここからがこの宮崎先生と朝日新聞の訴えたかった点だろう。
「インターネットという感情の増幅を特質とするメディアの普及とも相俟って『新しい敵=新しい規定』を求めて散乱して行った。中国や韓国、ジェンダーフリー教育、マイノリティ運動、女系天皇、媚中派など『敵』を見出しては、その都度、対象に逆指定されるような思想実践では、やがて細分化と惰性化とを避け得ないであろう」
この分析は的を得ていない。このような考えは前からあったが、それを発信する術を我々の陣営と仲間が保持していなかっただけのことである。ネットの普及はそのような考えを社会に広めさせるきっかけを作り出したに過ぎない。
「敵」は前から存在したが、我々はネットという武器を入手したことによって、それらの「敵」を撃つ範囲にまで追い詰めてきたというのが正確な分析である。
そして彼は最後を次の言葉で締めくくる
「自省の契機も、熟慮のよすがもなく、ただ断片的な反応―それもしばしば激越に走る―しか看取できないとすれば、それはもはや保守とも保守主義とも無縁の、単なる憎悪の表出に過ぎない」
最後にようやく本音というか正体を現した。難しい漢字や難解な文章を重ねてはいるが、ようするにネット右翼は憎悪に駆られており、それは日本の保守派とは無縁な存在であると言いたいわけだ。
彼はまだ若いので、これまでのような評論家とは違うのかも知れない。これまでの多くの評論家や学者・文化人の多くは若いときにマルクス主義を学び経験している。マルクス主義の根本には憎悪が潜んでいる。だから、マルクスを捨ててもその憎悪だけは消せない。
国家を純粋に思い、将来を憂いる行為が、「単なる憎悪の表出」にしか目に映らない。私はそのような宮崎先生に哀れみの姿しか見出せないのである。
保守主義と無縁であると決めつけられるなら、それも良かろう。ネット右翼は極右ナショナリズムの担い手として登場すれば良いだけのことである。その方が既成左翼に逃げ場はない。なぜなら極右は単なる反共勢力では終わらないからだ。
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写真:朝日に限らず偏向メディアはネット右翼に危機感を持つ

