「人工衛星」説を垂れ流す
日本の報道機関
北朝鮮がテポドン2号の発射準備とも受け取られる動きを見せていることに対して、日本のマスコミの中には、一体「何を考えて報道しているのか?」と強い憤りを感じてしまうような通信社がある。
それは共同通信であるが、共同通信社は6月17日、次のように報じた。
北朝鮮「人工衛星打ち上げか」 科学者集め軌道計算
【北京17日共同】長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射実験準備を行っているとされる北朝鮮が今年に入り、「人工衛星」の打ち上げに備え、宇宙工学分野の科学者を動員し、軌道の設定と計算の作業を進めていることが分かった。北朝鮮に詳しい情報筋が17日明らかにした。「人工衛星」として発信機などをテポドン2号に組み込み打ち上げを行う可能性も排除できなくなったといえる。
共同通信社は全国の地方新聞社とニュースの配信契約を結んでいるので、このニュースは全国の地方紙に掲載された。このような訳で国民の中には今回のミサイル発射については平和目的の人工衛星の打ち上げという間違った認識を持つ人もいる。
朝日新聞なども6月20日の2面にテポドン1号ミサイル発射について次のような文章を掲載した。
「北朝鮮はテポドン1号を『初の人工衛星打ち上げに成功』と宣伝し、国内的にも『国家威信』を取り戻す効果をもたらした」
正直言ってこれはもう呆れ果てたなどというものではない。信じられない報道ぶりである。確かに北朝鮮はそのような主張をした事実はある。しかし、それには前段階があり、それを正確に報道しなければ、国民に間違った印象を与えかねない。
北朝鮮は1998年8月31日にテポドン1号を日本列島を跳び越して三陸海岸沖に撃ち込んだことがある。この時、平和ボケしていた日本中が大騒ぎになって、国会ではこれまで北朝鮮の共産党を友党扱いしてきた社民党や共産党も一緒になって『北朝鮮批難決議』を全会一致で採択した。
この日本側の強い反発に恐れた北朝鮮はそれから半月後の9月15日頃になって初めてあれは『光明星1号』という人工衛星であったと主張した。しかし、そのミサイルの発射軌道は日本に向け斜めに撃たれたことが、日本側のレーダーで確認され、地球を回る軌道に人工衛星らしきものは何一つ見当たらなかった。
つまり、日本側の反発に恐れて嘘をついたに過ぎない。このような経緯がある以上、この「人工衛星」説などは笑止千万のはずなのに、それを今回報道しているのだから、これはもうある種の意図を感じないわけにはいかない。
日本のマスコミより、韓国のノ・ムヒョン左派政権と戦っている韓国の新聞社の方が余程まともな事を書いていた。ライブドアニュースで既に読んだ方もおられると思いますが、長い記事ながら紹介しておきましょう。
【朝鮮日報社説】
世界中が「ミサイル」だと言うのに、「人工衛星」と言い張る韓国政府
韓国政府は、北朝鮮が発射しようとしているのは軍事用ミサイルではなく、人工衛星である可能性が高いとの判断を下したという。
国民数百万人を飢えさせ、ひいては外国で日雇い労働者・家政婦・売春婦として売られるような状況に追い込んだ北朝鮮政権が、科学技術分野で競争するために人工衛星を打ち上げようとしているという話だ。
政府が何を根拠に米国や日本と異なる判断をしているかは定かでない。ただ、韓国政府が北朝鮮の軍事情報の90%以上を米国の偵察衛星に依存しているということは、知るべき人は皆知っている事実だ。
知らないうちに韓国政府が独自の情報収集能力を身につけたのだろうか。万が一そうだとしたら、なかなか感心すべきことだ。しかし実際には、米国が手にした情報をのぞき見しながら、情報に対する解釈のみ独自に行っているというのが真相だろう。
こうした事実は、政府関係者らが「軍事用ミサイルは普通固体燃料を使うのに今回の北朝鮮のものは液体燃料を使っている」 「軍事用ミサイルは地下から発射するが、今回は地上に発射台を設置した」といった説明を行っていることからも、見て取れる。
しかし軍事用や衛星用とで表面上の違いはあれ、その原理は全く同じだ。そして北朝鮮がひとたび発射すれば、国際社会に及ぼす影響もまた同じだ。不審な人物が包丁を持って周囲をうろついているのに、「あれは厨房用の刃物だから大丈夫だ」とは言えないのと同じだろう。
それなのに政府は、北朝鮮が1998年にテポドン1号を試験発射した際、言葉に窮するあまりに発した「ミサイルではなく人工衛星」という笑い話のような弁解をそっくりまねているようだ。
そういえば、現政権は北朝鮮の核開発についても「核は防御用だ。一理がある」という「主体的」な解釈を発表していた。政府はその「主体的解釈」をさらに拡大し、今度は全世界が「北朝鮮のミサイル」と認識している物体を「北朝鮮の人工衛星」と呼ぶことに決めたようだ。
現政権の人々は「ミサイル」と呼べば危機を招き、「人工衛星」と呼べば危機が解消されるとでも思っているのだろう。純真というべきなのか、ただのバカというべきなのか、われわれが頼るべき政府はこんな政府しかないというのは、まさに悲劇である。
(2006年06月21日01時48分 朝鮮日報/提供)
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