『小泉・安倍』包囲網が完成した暗闘劇の行方
9月に行われる自民党総裁選を巡る暗闘がここに来て一気に表面化してきた。小泉首相の強引さばかりが目立つ新聞社の報道だが、永田町では少々見解が違う。追い詰められているのは小泉・安倍連合の方で確実に包囲網が出来つつあると言うのだ。
最初に仕掛けたのは山崎拓元副総裁である。この人物は小泉首相から切られたかのように報道されたが、自分から小泉首相を裏切ったのである。
20数年も友情によって支えられていたのに、裏切りというのは、小説の世界の話にはあるが、そうそう世間であることではない。それを承知で裏切りに出たわけだから、これは相当の覚悟であり、また綿密な計画によって動いている。
山崎が手を組んだのは自民党ではなく公明党である。彼は補欠選挙で返り咲いたが、その時に公明党の支援団体である創価学会の力を嫌というほど知らされた。
山崎は盟友の加藤紘一や高村正彦元外相と先ず連携して、早くから自民党内に「反小泉勢力」の結集に動いた。山崎は最初から総裁を狙える器ではないことは本人が誰よりも知っている。
彼、山崎の狙いはかつてのキングメーカー・田中角栄のようなヤミ将軍である。この山崎、一旦は愛人変態騒動で失脚したが相当したたかな政治家であり、彼が考えついたのが「無宗教の国立追悼施設」である。
靖国参拝で中韓が文句をつけていることを利用して、もともと靖国神社参拝に反対の公明党を巻き込んだ。この「国立追悼施設」を隠れ蓑に反小泉勢力を結集して、福田康夫元官房長官の擁立を画策している。
ここに来て「国立追悼施設」に盛んに言及しているのが、公明党の神埼武法代表である。彼は11日の福岡市内での会合では「次期首相は靖国神社に参拝すべきでない」などと、これまでより一歩踏み込んだ発言をしている。
これは山崎らと裏で打ち合わせ済みの発言で、小泉首相や安倍晋三官房長官を牽制したものである。この強気の発言の裏には自民党内で確実に小泉・安倍包囲網が広がりを見せていることへの自信の表れでもある。
ここに来て小泉首相の「安倍支持」を滲ませた発言、武部幹事長の総裁選挙における国民参加などへの期待表明は、それだけ不利な状況を意識してのものだろう。更に小泉首相の秘書官で山梨県から当選した小野代議士らが、小泉チルドレンに結束を呼びかけたのもそうだ。
そのような中で昨日、二人が総裁選挙出馬への意欲を表明している。
谷垣財務相は次のように述べた。
「日本人にとって非常に意味がある」としながらも、「トップリーダーとして(中国や韓国との)関係を壊してはいけないということと比較考量し、どう判断するかだ」と慎重な姿勢を表明。靖国神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯についても「自分たちが戦争の責任を背負っていくという気持ちで裁判を受けたのでは。そういう方を靖国神社にお祀りし顕彰することは本人の意思にも合わないのではないか」(産経新聞)
更に福田元官房長官ははっきりとした口調で小泉首相の靖国参拝を批判した。「靖国神社に参拝することは国家的な使命だという方もいるが、首相が、ということなら憲法違反になってしまう。国立追悼施設なら無宗教だから憲法違反にもならず、首相も行けるし、各国の代表も行くことが可能だ」と述べ、新たな国立追悼施設建設が必要になるとの考えを示した。(産経新聞)
先に自民党の総裁選について触れたが、その時、谷垣と福田は必ず提携すると書いた。この両者は「ポスト小泉」で足並みを揃えたようだ。勿論このシナリオを書いているのは山崎−加藤連合と公明党である。
もう一人の自民党の実力者である二階俊博経済産業相は、自民党に戻る時に山崎と福田には世話になっており、現在は閣僚として小泉首相に従っているが、総裁選挙ではどう出るか予想がつかない。
さて、森派は分裂を避けようと年配層は福田で一本化しようと試みるだろうが、現在、安倍官房長官がそれに反発しており、何よりも小泉首相がそれを許さない。
しかし、もともと小泉首相は党内基盤が弱く、首相が思うように後継候補を決められる雰囲気にはなっていない。こうなると他の派閥や実力者の動きから目を離せなくなってきた。
額賀防衛庁長官、中川昭一農林大臣などの動向が注目される。この二人とどこまで安倍官房長官が信頼関係を築けるかである。また、ここに来て郵政民営化問題で自民党を離党した無所属議員の復党話が持ちあがっている。どちらかと言えば、靖国参拝問題などでは安倍官房長官に近いと思われる人達が多い。
このような中、一番注目されそうなのが麻生太郎外相である。彼は小泉・安倍ラインの外交姿勢に最も近い。もし党内が安倍官房長官の若さに反発するようなら、麻生外相との連携もあり得る状況だ。しかし、麻生外相もまた党内基盤はゼロに等しい。麻生グループと言っても河野洋平議長のグループを引き継いだだけで、思想や考え方は全く相容れない。
いくら喧嘩上手の小泉首相とて、手駒が少なくては有効な手を打つことも出来ない。「小泉チルドレン」も堅固とは言えず切り崩されている。派閥はかつての求心力を失ったとはいえ、誰しもがハッスルするのが権力闘争である。
靖国神社参拝、国立追悼施設など極めて我々≪極右≫も無関心ではいられない問題を孕む自民党総裁選挙だけに、これまでのような傍観を決め込むわけにはいかない。(敬称略)
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