耐震強度偽装問題で世間が揺れている!
建築物の鉄骨を削減するなどコスト安を目論んだ偽装設計は「利益追求」「営利至上主義」に根差した背信行為であることは言うまでもない。
かくなる上は設計者及び設計監理者は殺人未遂容疑で、販売業者は詐欺罪で立件されることが相当だろう。
各地で地震・災害が相次ぐ中、自らの利益のために耐震強度を偽装するなどという行為は当該マンションの住民のみならず周辺地域にも危険をもたらすもので、まさしく「天誅もの」と言える悪行だ。
挙げ句、業者間で責任を擦り付け合い、国による補償(国民の血税)という形で国民に責任を問うのだからやる瀬ない。しかし、これは我が国が民主主義国家であり、民主主義における主権が国民にある以上、この結果は至極当然とも言える(この点については約十年前に騒然となった住専問題と似通っているのではないだろうか)。
かつて、住友不動産会長宅が右翼に襲撃されるという事件があった。昭和62年のこと―。
空前絶後の地価高騰を招いた営利至上主義に基づく財界首脳の経営方針に異を唱えた新右翼系メンバーらが日本刀と決起文を携え、住友不動産の安藤会長(当時)宅に篭城した事件だ。
あの頃、日本中が好況に浮かれ、若年層は3K労働を敬遠し、人手不足に悩まされた中小・零細企業は続々と不法就労外国人の雇用に踏み切ったものである。
好況期は全般的に誰しもが経済的、精神的に潤っているせいか、社会不安に不満を唱える人も少ない。何より、他国では街中で日常的に存在する物乞いが見られなかったことが、この国の豊かさを物語っていたと言えよう。
時を経て、平成十七年―。
今日のような情勢下で右翼を自認する勢力の中から、耐震強度偽装問題を糾弾する動きが皆無に等しいという現実が不思議に思えてならない。
新右翼とは70年代前半から台頭してきた右翼勢力の一つを指すものであり、既成の右翼勢力とは一線を画した運動スタイルと過激な主張が注目を集め、当時としては斬新なムーブメントであった。
YP(ヤルタ・ポツダム)体制の打倒を掲げ、旧来からの反共主義とともに反米路線を強く打ち出し、その理念から戦後体制に与して暴利を貪る資本家を糾弾する過激な活動・事件を展開してきたことで知られる。
人心に閉塞感が漂う不況期において、社会不安要因がより顕在化する動きを見せる中、人命をも危ぶませる耐震強度偽装問題を考察するに、一連の新右翼の行動を再評価する必要があるのではないだろうか。
好景気の到来を目前に控えた時代、もしかすると、彼らの活動は二十年以上も先を行っていたのかも知れないと考えるからだ。
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