移民暴動が拡大の一途を辿るフランスの混迷状態は、「自由・平等・博愛」なる理念が即ち理想に過ぎなかったことを物語っている。この国が移民問題に起因する治安の悪化ひいては国内状況の不安定化に対し、三色旗に示された「寛容」の旗印を捨てた時、我々はそこに生存を賭した国家の真の姿を見た思いだ。
先のイラク攻撃において、米国の同盟国として機能し得なかったフランスとドイツは共に国内に多数のイスラム教徒を抱えているという事情を見逃せない。我が国でも不法滞在外国人が治安状況に与えた影響は甚大で、国内状況はおろか国際情勢さえも左右する人の移動は紛れもなく「戦争の一形態」とさえ言えるだろう。
「寛容ゼロ」を標榜し、「放水で移民を一掃せよ」「ゴロツキ」など乱暴な表現を用いてでも治安回復に臨むサルコジ内相への支持が高まる背景には、移民を排斥することで逼迫した事態を打開し、自らの生存圏を死守するには暴力(=武力行使=戦争)を用いる以外にないという人間本来の生存本能が露(あらわ)になっている。
動物にはテリトリーがあり彼らは自然の摂理を厳格に守っているが、ただ、人間のみが無限にテリトリーを拡大させることに努めてきたことは歴史を顧みれば一目瞭然であろう。かつてはその手段が植民地支配に見られる戦争であった。そして今、それぞれの民族が自らの生存圏を飛び出し、一つの国家に密集することで軋轢・衝突を生んでいる。
一国の閣僚が過激発言に及び、国家そのものが生存と安全を求めてエネルギーを昇華させる時、それ以外の一切の理性さえも失われつつある状況に、我々は��力の哲学�瓩砲茲訐限厳�防衛という、ナショナリズムの究極形態を見るのだろう。
パリ郊外で暴動拡大 首相ら火消し躍起
移民差別・失業が背景 内政問題に
【パリ=山口昌子】アフリカやアラブ系の移民が多いパリ郊外セーヌ・サンドニ県で先月末、未成年の若者二人が変電所で感電死した事件をきっかけに発生した暴動事件がパリ郊外全体に拡大。背景には失業や人種差別という難問があるため、ドビルパン首相とサルコジ内相が外国訪問を急遽(きゅうきょ)、中止して対応にあたるなど、内政問題の焦点に浮上してきた。
二人が感電死したのは先月二十七日。移民側は強盗事件を捜査中の警官に追跡された結果だと警察の落ち度を主張。一方、警察側は二人が三メートルの塀を乗り越えて禁止地区の同所に逃げ込んだときには警官は警察署に引き揚げていたとし、食い違いをみせている。
さらにサルコジ内相が事件の翌日、二人は「追跡されていなかった」と言明したことで、移民側が反発。同夜から移民若年層による暴動が発生し、二日にはパリ郊外全域に拡大。三日までに三百台以上の車などが放火された。内相は「寛容ゼロ」を標榜(ひょうぼう)し、厳しい態度で治安回復に努めてきた。しかし、「放水で一掃せよ」「ごろつき」など乱暴な言葉を吐いたため、社会党をはじめ野党は「挑発者」(ファビウス元首相)などと内相批判を強め、移民出身のベガッグ機会平等促進担当相ら政府内からも異例の批判の声が出た。
内相は先月三十一日に二人の親族と会談する予定だったが、親族が拒否したため一日に首相同席で会合が持たれるなど、二〇〇七年の大統領選候補を争う二人のライバル意識もかき立てている。
パリ郊外は犯罪の多発地区。サンドニでは感電死事件が発生した同じ日に、町を撮影中の男性が二人の若者にカメラを奪われたうえ撲殺される事件も発生しており、内相の支持率が高いのも治安回復を願う国民の共感があるからだ。
シラク大統領は二日、事件の「沈静化」を訴え、首相は同日からのカナダ行きを遅らせたほか、内相もパキスタン、アフガニスタン行きを中止した。犯罪多発の背景には失業や人種差別、貧困、教育問題など、いわゆる“郊外問題”があり歴代の政府も頭を悩ませてきただけに、解決は容易ではない。 (産経新聞) - 11月4日2時35分更新
フランスが我が国に教え示しているのは、移民を受け入れた場合、人種・民族別によって職種が分類され、被差別階層を生み出すということである。日本人の存在そのものが差別になりかねないというのだ。既に不法滞在外国人らの就労によって「構造化」は進行、定着しつつある。彼らの権利、要求を容認すればより事態が悪化することも必至だ。こうした事態を回避すべく多民族・多文化共生社会を築こうとの論が戯言であることは、改めてフランスの例を出すまでもない。
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