福島県知事選挙・自民党本部と県連が対立
現職知事の動向に左右される安部政権
自民党の福島県連の岩城光英参院議員は8月22日、福島県本部が10月26日に投票の福島知事選挙に擁立を決定した元日本銀行福島支店長の鉢村健氏への推薦を求めて党本部の河村建夫選挙対策委員長と会談した。
しかし、河村委員長は進退を明らかにしていない現職の佐藤雄平知事の動向や野党の対応を見極めた上で決定するとして、県連の推薦要請を保留した。
自民党は滋賀県知事選挙で敗北、沖縄知事選挙の行方にも不安を持っており、福島知事選挙でも敗れるようなことになれば、安倍政権は窮地に陥ることになり、県連が擁立した鉢村候補への推薦を決定できないでいる。このまま現職の佐藤雄平知事の動向に左右され続けるとなると、事態は党本部と県連の深刻な対立を招きかねない。
佐藤雄平知事の無責任な対応
前回の知事選挙において自民党は政権政党にも係わらず独自候補を擁立出来なかった。原発事故への対応などもあり選挙選に持ち込むことは確かに得策ではなかった。未曾有の大震災と原発事故は争いというよりも、与野党が一致団結して復興に当たるという大義名分が何よりも先行したのは当然であり、多くの県民もそれを望んだ。
しかし、今回はどうなのか?以前と違って県民が選挙を望んでいないということはない。それは佐藤雄平知事が今になっても3選への自らの立場を明らかに出来ずにいることにも明らかだ。もし、県民が前回のように選挙を望んでいないようであれば、現職が有利と判断して佐藤知事は自らの意思をはっきりと示す筈だ。
それを明らかにしていないのは、県民の世論が必ずしも無風選挙を望んでおらず、与野党対立もやむ得ないと考えていることにもなる。佐藤知事が進退を明らかにしないのは、必ずしも自分が3選を目指しても必ず当選するという確信が持てないからでもある。
現職知事が3選を目指すことは福島県民に取ってこれほど不幸なことはない。原発事故以来佐藤雄平知事がやってきたことと言えば、東京電力を批判するだけで、自分自身の責任などについては一切口をつぐんできた。
口を開けば「東京電力に騙された」などとばかり発言してきたが、騙されたと感じてきたのは他でもない福島県民の側である。佐藤知事は自分の側には責任は何一つないという立場だがそれは違う。
確かにこの度の事故は過去の歴史に遡っても一千年に一度あるか、ないかの大地震という自然災害によってもたらされた。よってたまたまこの時期に知事であった佐藤雄平氏には不運だったかも知れない。
しかし、当時運転を中止していた福島原子力発電所の稼動とプルサーマルの導入を最終的に決断したのは、佐藤雄平知事であったことは事実だ。当時いつまでも中止していることは出来なかったと思うし、知事一人の責任ではないかも知れない。だからと言って責任が全くないと果たして
言い切れるのか?
今でこそ与野党の議会関係者の誰もが認めることがある。それは再稼動に関して何らかの対策の上乗せが可能であり、それを何故行わなかったかという後悔の言葉だ。それは今回の事故の原因ともなった津波対策である。地震の揺れにはびくともしなかったが、津波によって電源が喪失し
て、それが結果的に大きな事故となった。
では、津波対策などへの懸念はまったくなかったのか?そのことに関して議員や県の担当者達は口を揃えて懸念する声はあったと認めている。しかし、原発を受け入れてきた福島県においては長年の東京電力との蜜月関係があった。そのような懸念があっても口に出せない雰囲気があった
ことは事実なのである。
このことは佐藤雄平知事だけの責任ではない。東京電力にだけ責任を負いかぶせるのではなく、受け入れてきた行政側の過去の施策なども検証しながら、福島県の責任についても言及すべきであったと今では多くの県民も思い始めている。
東京電力へのヒステリックな対応
多くの県民の誰もが何度も見た佐藤雄平知事の表情がある。東京電力の社長や副社長が福島県庁を何度も訪れたときだ。佐藤知事は目を吊り上げ睨みつけた。語気も鋭く怒りに震えている姿は印象的でもあった。しかし、今考えるとあれほど感情を剥き出しにした表情を続ける必要があった
のか?
事が事だけにへらへらと笑っている訳には行かない。しかし、それを何度も見せ付けられるうちに果たしてそれで良いのか?といった疑問を持った県民もいた筈だ。左翼のように前々から原発の廃止を訴えてきた人達ならいざ知らず、少なくとも共に協力し推進してきたことは明らかだ。
つまり、東電にだけ怒りをぶつけて見ても何も前には進まない。県民が見せられてきたのは県の執行部と東電の意思の疎通が最も大切な時期にいつも知事が怒り散らしている光景だった。この事に対してようやく落ち着きを取りも出した現在疑問の声は強まるばかりだ。
指導者はいかなる時であっても冷静さを失ってはならない。ただ相手を責めるだけではなく、どうすれば良いのかを頻繁に話し合う機会を自ら閉ざしていたようにしか思えない。これまで福島県が特に浜通りの原発地帯の市長村がどれだけ交付金などで潤ってきたのか。そのことも含めて
対応すべきではなかったか。
「東京電力に騙された」とばかり言って見ても、何の解決にもなりはしない。原発の安全性は東京電力だけが言ってきた訳ではない。原子力の安全神話は国策として、上は国から県、そして市町村に至るまで言ってきたことだ。その安全神話が脆くも崩れてしまったが故に、騙されたとの気持ちを強くしたのは解る。
しかし、「この騙された」という言葉が地域の住民からの言葉なら仕方がないが、福島県の行政のトップである知事の言葉としてはどうなのか?責任転嫁を図っているとしか見えなかった。これでは県のトップとして相応しいとは思わない。無責任であったと言われても仕方がない。
佐藤雄平知事の対応はまさに無責任に終始したものだった。今回の事故で責任を感じるのは国と東電だけではない。福島県の原子力行政に携わってきた全ての人にも責任会回避など許されないのは当然である。
何故、佐藤雄平知事は進退を明言しないのか?
現職の佐藤知事の3選を出馬を前提として動いているのが、民主党福島県連、社民党県連、連合福島と一部の無所属議員だが、4者協議会を結成し出馬の要請をする方向で一致している。既に本人にもその意思を伝達している。既に自民党の福島県連は鉢村氏の擁立を決定しているが、
この原稿を書いている24日現在においても進退は明言していない。
自民党が対立候補を擁立する前であれば、先に立候補を表明することになれば、自民党の相乗り支援はなくなる訳で相手方の出方を見ていたということも考えられる。しかし、福島県自民党県連が独自候補擁立を決定したのに、いまだに出馬の表明がないと言う事はどういうことなの
か?
佐藤知事は自民党本部が県連が擁立を決めた鉢村氏を支援しないという圧力をかけて、鉢村氏が辞退に追い込まれることを待っているのではないか?そのようなうがった見方も広まっている。佐藤知事が狙っているのは中間貯蔵施設の建設をめぐっての国との交渉を成功させて、それを一つの成果として、政府にも働きかけて自分を支援するように求めているのではないか?
そのような考えを持つ県民も多い。佐藤氏が態度を表明を遅らせているのは「中間貯蔵施設の問題が大事な段階にある、今は対応に集中し全力を傾注したい」という理由によるものである。しかし、この交渉が始まっても必ずしもまとまるとは限らない。
今各市町村においてある除染で出た放射性物質に関して、浜通りに建設するこの中間貯蔵施設に運ぶことにしているが、果たしてその必要があるのか、そう言った意見もチラホラ出てきている。各家庭の庭に埋まられたままのものもあれば、仮置き場に運ばれたものもあるが、それを浜通りに運ぶのに一体どれほどの費用がかかるのか?
今福島市、郡山市、伊達市などの住民はその仮置き場の近くで暮らしているが、放射能の危険性を感じて一日も早く運びだすべきだ・・・などの声は聞かない。放射線量もそれほど高くはない。
私はこの問題を選挙の争点にすべきと考える。大規模な中間貯蔵施設を浜通りに建設し、そこに毎日大型ダンプで運搬するよりも、各自治体に小規模な貯蔵施設を建設し取りあえずはそこで管理すべきではないか?そうすれば浜通り地区にだけ資金が投入されることなく、福島県全域にくまなく平等に資金は配布される。
その天文学的な運搬費用も軽減される。除染やその除染ででた物質は小規模の施設でも十分に管理できることは明らかである。これらにあたる費用は全て全国民の税金でまかなわれていることを考えるならば、ただ無駄に使って処理すれば良いなどと言ってられないと思う。
中間貯蔵受け入れ最終調整 知事、訪欧中止し判断へ
福島民報 8月23日(土)12時28分配信
東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設受け入れをめぐる政府と福島県、建設候補地のある大熊、双葉両町の調整が大詰めを迎えた。佐藤雄平知事は22日、中間貯蔵施設の協議に専念するため、今月末から予定していた欧州訪問を取りやめた。大熊、双葉両町議会は26日、それぞれ全員協議会を開き、建設受け入れの是非を議論する。
佐藤知事は22日、視察先の川内村で記者団に、「(欧州には)代理が行く。最大の課題である中間貯蔵施設の問題に専念するためだ」と語った。村田文雄副知事が代理を務める。
佐藤知事は31日から9月6日までの日程でドイツ、スイス、イギリスを訪れ、医療機器関連産業の連携協定締結式などに出席する予定だった。
県によると、中間貯蔵施設の詰めの協議と欧州訪問の時期が重なる可能性が出てきたため、受け入れの判断を迫られる佐藤知事は外遊を見合わせた。県幹部は「政府の体制が変わると、積み重ねてきた議論が逆戻りする恐れがある」として、内閣改造が予定される9月3日までの協議終了を視野に入れている。
ただ、大熊、双葉両町は議会の意向も踏まえて、建設を受け入れるかどうかを判断する予定。議会内からは慎重な対応を求める意見も出ており、今後の展開は不透明だ。
26日の大熊町議会の全員協議会は会津若松市の町役場会津若松出張所、双葉町議会の全員協議会はいわき市の町役場いわき事務所でそれぞれ開かれる。政府の担当者から新たな交付金を使った地域振興策などについて説明を受け、質疑する。
27日は両町の行政区長会に対する説明会も開き、政府側が施設建設に理解を求める。佐藤知事は「中間貯蔵施設の協議に専念したい」として、任期満了に伴い10月9日告示、同26日投票で行われる知事選に向けた態度を明らかにしていない。協議に区切りがつけば、佐藤知事が態度を表明し、知事選に向けた動きが一気に加速するとみられる。
■用地買収差額県が負担検討
中間貯蔵施設の建設候補地の補償で、県は政府の算定額と地権者の要望する買い取り額の差額を負担できないか検討に入った。
政府は建設候補地の土地の補償について「5〜10年後に使用が再開できる土地」と想定し価格を算定する方針を示しており、原発事故前の8〜9割程度となる見通し。
一方、地権者からは事故前の価格で買い取るよう求める声が出ている。県は事故前価格と政府の補償額の差額負担について検討しているが、財源確保などが課題となっている。週明けにも両町に方針を提示する方向で調整している。
