小沢王国は政治権力と土建屋癒着
岩手県達増拓也圧勝の背景
今回の統一地方選挙の13都道府県知事選挙において、首都・東京の石原先生のように相手候補を圧倒した選挙があった。それは岩手県の達増拓也氏である。
達増氏は外務省の課長補佐時代に、小沢氏から口説かれて政界に転出、衆議院議員を4期務めている。東大出身のエリートであって、申し分のない候補者であった。
達増氏が獲得した票数は45万4千票。対する自民の推薦を受けた柳村純一氏は15万8千票しか取れていない。これは新聞、テレビが伝えている「小沢王国」の力によるものである。
では、そもそもこの「小沢王国」なるものとは、一体何なのか?かつてロッキード事件で有罪判決を受けながらも、立候補して大量得票を成し遂げた故田中角栄氏には「越山会王国」とか「田中支配」という名称が使われた。
このような「小沢王国」すなわち「小沢支配」とは何か?そして、それはどのようにして築き上げられたものなのか。新聞・テレビはそのことについては触れようともしない。
一地方において、絶対的な権力を握り、王国とまでに称される政治支配を可能にしたもの、それは公共工事にしか頼ることの出来ない、地方における悪しき政治の典型的見本なのである。
そのことにメスを入れることなく、ただ単に「小沢王国」などという名称を、何の疑問を抱くことなく垂れ流す、その新聞・テレビの報道には呆れ果てるしかない。
石原先生の高額な海外出張や4男の重用問題を、マスコミは盛んに攻撃したが、そんなものはこの「小沢支配」とされる問題から見たら、極めて小さな問題でしかない。
10億円に上る隠し資産やその政治資金の集金力は、この「小沢王国」と呼ばれる政治権力の支配構造の中から生まれてきているのです。今回のこの達増氏の圧勝も、その結果に過ぎません。
マスコミが全く報じてこなかった、この「小沢王国」の実態について、私は何年か前にこれを取材、これを書いたことがあります。またネット上でも発表しています。
土建屋と政治家の癒着、公共工事を仕切る談合屋との親密な関係、これらはなかなか表面化することはありません。すべては密室において行なわれているからです。
核心にまでは斬り込めてはいませんが、このレポートをお読みになれば、「小沢王国」なるものの力が政治と金という、最も悪しき古い体制の中で培われてきたものであるかが理解できると思います。
東北談合のボス・鹿島東北支店 連載 (21)
岩手県編 小沢一郎と結託 その12005年08月09日
鹿島東北支店は東北地方における公共工事を全て仕切ってきたし、現在でもそれは行なわれている。宮城、福島、山形は勿論、青森、岩手、秋田の6県に鹿島は君臨してきた。
宮城の場合は、これまで前述したように三塚博、遠藤要議員と太いパイプを持ち、その力を背景として他のゼネコンに対するにらみを利かせた。
岩手県においては小沢一郎がいる。小沢は自民党をゼネコン汚職後の選挙前に離れ新生党を結成し、後の政界再編では暗躍し続けている。
この小沢とも鹿島は特にねんごろの間柄だ。逮捕された鹿島の清山副社長から盆暮れには500万円のヤミ献金が渡されていたことが発覚した。
また、小沢は選挙の度に大がかりなゼネコン社員を動員したローラー作戦を行なっていたが、これらは選挙の度に作られた「裏選対」と呼ばれた後援会組織があったから出来たことだった。
この「裏選対」を事実上采配してきたのが鹿島東北支店である。
この「裏選対」の資料が外部に漏れたことがある。1993年頃のことだった。
組織の実体はゼネコン19社の東北岩手地区責任者で構成され、その名称は桐松クラブと称して、その責任者は鹿島盛岡営業所の山口長資所長である。
同クラブは、この時の選挙向けに急遽結成されたもので、同クラブの実務者として小沢の公設秘書の名前もあった。
この資料がなぜ世間から注目されたかと言えば、ゼネコン汚職によって業界と政治家の癒着が批判されていた最中のことであったからだ。
現に、このクラブに最初は名を連ねたが、すぐに参加を辞退したゼネコンもあった。
しかし、大半のゼネコンは小沢、鹿島の報復を恐れて手伝わざるを得なかった。
岩手県内の仕事であっても大型の公共工事は勿論、比較的規模の小さいものであっても、鹿島東北支店において決定される。入札前に談合によって決定され、営業所の営業マンは東北支店から連絡があって初めて落札者を知ることになる。
1996年1月12日に発売された『週刊金曜日』の政治が歪める公共事業、復活した仙台談合組織から長くなるが引用することにしたい。
95年秋、○○ゼネコン営業所の電話が鳴った。
「今度の工事で組む相手は△△社。本命は一社」
談合結果を知らせる仙台からの電話であった。
建設業者はこう語る。
「岩手県の大型公共工事と言っても、盛岡で決まるわけではない。役所の入札はセレモニーで、実質的には仙台で決まっていく、落札する本命はもちろん、本命でない共同企業体(JV)の組み合わせもだ。盛岡営業所には、その結果が電話で伝えられるだけなのさ」
岩手県の公共工事が仙台で決まる―こう聞いて思い出すのは93年6月から翌年にかけて報道されたゼネコン汚職である。
あの当時、東北建設協議会(91年7月解散宣言後も活動を継続)が東北の公共事業を仕切り、談合の親分は鹿島東北支店の門脇副支店長と営業本部長の伊東尚一郎氏と言われていた。
東北一の経済拠点・仙台市が談合の発信地でもあったというわけである。
しかし、仙台市長や宮城県知事らから逮捕者が続出する中、東建協は機能停止状態に至った。
ところが、この談合組織は一時的になりを潜めていただけで、結局は生き長らえているようなのである。
東北談合のボス・鹿島東北支店 連載 (22)
一将功成り万骨枯れた岩手県 2005年08月10日
1996年1月12日の『週刊金曜日』に掲載された「復活した談合組織」からの引用を続ける。
談合情報との一致
仙台談合組織の復活は、最近の談合情報報道とも一致する。例えばつい先月(95年12月9日)の『河北新報』には「凌里川ダム工事、本社に談合情報」という見出しの記事がでた。
これによると「凌里川ダム工事」(岩手県三陸町)の一般競争入札で「落札業者が決まっている」との談合情報が河北新報本社(仙台)と県に寄せられ、その内容は「入札は中央ゼネコンA社と地元ゼネコンB社による特定共同企業体が落札する」「業者が仙台に集まり談合した」であった。
そのため県は入札を延期して業者から事情聴取。結局情報通りの業者(A社はフジタ、B社は高弥建設)が落札した。
<ここまでが引用記事>
当時の高弥建設は岩手県においての地場建設会社ではダントツの存在であった。公共工事は鹿島東北支店の談合屋(伊東尚一郎)小沢一郎代議士、そしてこの高弥建設の望月茂会長の三人によって仕切られていた。
そこで地元の建設業界では、これを「三位一体の構造」と言われていた。
大手ゼネコンと地元建設業者が組んでやる共同企業体の場合、先ず大手ゼネコンは仙台で本命業者が決まり、岩手県内の地元業者は高弥建設の望月会長によって決められる。この組み合わせが決まると、これを小沢事務所に知らせ、了解を得て正式に決定となる。
ここからまた『週刊金曜日』の文を引用しよう。今度は1996年2月9日号である。
小沢氏と高弥建設の急伸
この東北に君臨する「鹿島」との関係が、小沢一郎氏を急成長させる事になったという話がある。業界関係者は十年前ほど前のことをこう振り返る。
「当時、金丸信は小沢一郎を政界の実力者にしようとしていた。そのためには建設業界との関係が不可欠で、そこでガリバー的存在の鹿島と小沢氏の接点として『高弥建設』を組み入れようという話になった。
こうして東京で四者会談(清山信二鹿島副社長、門脇一韶、小沢一郎、望月茂高弥建設会長)が持たれて、この鹿島−小沢−高弥ラインが誕生したと聞いた。
それまで高弥建設は東建協にとっては単なる岩手県の一業者、問題外の存在でしかなかった。ところが有力国会議員の“指定業者”になり、急に注目されるようになった」
<ここまで引用記事>
高弥建設は86年には165億円だったが、88年には207億円、90年には257億円、92年には303億円、94年には356億円と急伸して行った。
しかし、2002年4月22日、高弥建設は民事再生法を申請し経営破綻した。負債総額は330億円であった。
長引く不況の中で特に東北地方において、建設業者の倒産が相次いだ。
東北地区では最大の地場ゼネコンとして310億円の完工高(倒産時)があったが、公共工事の削減が続く中で経営難に陥っていたのである。
岩手県建設業協会(804社加盟)の会長として業界を束ね、小沢一郎の後援会長も努めたほどの会社が倒産したショックは、ことの他、大きかった。
かつてはグループ全体で700億円を売り上げたこともあるが、破綻に追い込まれていったのは公共工事の削減が一番の原因で、やはり地場ゼネコンとしての限界があった。
この公共工事削減の中でも、中央の大手ゼネコンは堅実に売上を維持し黒字を出し続けている。
特に鹿島などはバブル最盛期に届こうかという高成長の波に乗っている。
この高弥建設が苦境に立った時、2000年頃、地元銀行を中心に鹿島の傘下に収め再建を図る案が浮上した。しかし、話し合いは決裂して実現しなかった。
これまで高弥建設は岩手県業者の砦でもあった。県内の二番手業者はいずれも100億円の規模で、高弥建設だけが大手ゼネコンと張り合う事が出来た。
県内の大型公共工事の場合、大手ゼネコン−高弥−地元建設業者という3社JV体制が自然な枠組みとなっていた。
この図式は地元業者が半分を占めるもので、県外大手業者の取り分をそれだけ制限してきた。ところが、その砦が崩壊したことにより、大手ゼネコンは6割から7割を占めることになったのである。
現在、岩手県においては鹿島東北支店の思いのままになっている。
現在、鹿島東北支店では東北地方の比較的大きなクラスをターゲットにしているとの情報がある。つまり、この岩手県で味を占めた地場建設大手が倒産すれば、それは大きなメリットを得るということを体験したからであろう。
まさに一将功成り万骨散る―とはこのことだろう。
上記の文章はゼネコン談合事件を追った「東北談合事件」の連載記事の一部です。 http://blog.livedoor.jp/central_press/archives/cat_1405887.html
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