2006年07月16日

中国の弱点、急所が露呈した国連安保理「北非難決議」問題

「中国の勝利ではない」

 中国は日本案の絶対阻止を掲げ制裁案を葬った。しかし、それでも勝利とは言えない。彼らは多くの弱点をさらけ出した。

 国連安保理における主役は常任理事国の中国と非常任理事国の日本だった。日本は今回、北朝鮮ミサイル発射については迅速に対応した。おそらく発射は5月末からその兆候が見られていたので、日米間で事前の打ち合わせを行なってきたのだろう。

 この日本が主役となって進めた「北朝鮮制裁決議」に一番驚いたのは、当の北朝鮮ではなく中国だった。中国は東アジアにおいて盟主気取りであり、ましてや北朝鮮は弟子のようなものである。

 その北朝鮮への中国抜きの制裁案の取りまとめは、中国にとっては自らの権威に対する挑戦と受け止めたのだろう。中国はなりふり構わずに日本案を潰しに狂奔した。結果的に日本案を阻止することに成功したが、今回中国が失ったものも多かった。

 今回、中国が日本案の阻止に動いた理由を幾つかここで考えてみよう。先ず最初に述べたわが国への対抗意識である。昨年、日本の常任理事国入りを阻止しており、その理由がアジアの盟主は中国一国であり、日本はその資格を有しないという強烈な自負心がある。

 しかし、その自負心は意外に脆く、それは自分だけの考えで、他の国がそうは考えていないことがはっきりした。何よりも説得しなければならない北朝鮮からは反発を受けることになった。

 また、中国のアキレス腱も浮かび上がって来た。それは「ならず者国家」北朝鮮の存在である。北朝鮮への制裁に反対したのは、金王朝が崩壊した後のシナリオがまだ描き切れていないのだろう。

 崩壊すれば数百万単位の難民が押し寄せ、大混乱が避けられない。国連軍の進行で北朝鮮が自由解放となれば、北に反共産主義の親米政権誕生という悪夢のシナリオさえ考えられる。

 これはロシアも同じではないか。極東に親米、親日の国家が誕生することはロシアにとって北方領土問題などもあり、絶対に認められないことである。中露にとっては、今のままの金正日独裁が続く方が好都合なのである。

 今回、中国側の作戦がある程度成功したのは何も中国が信頼されていたわけでなく、現在進行中の国際情勢が中国に味方しただけのことである。イラン問題が緊急課題となった米国や西欧諸国は、ロシアや中国との対決は避けたかった。

 英仏は安保理における全会一致にこだわった。イラク問題が余程こたえていたのだろう。仲介案を示して存在感を得たいという思惑も働いていたはずだ。米国にしても、今回は決定的な分裂は望んではいなかった。

 結果だけ見れば、中国は日本案を潰して目的を達成したかのようだが、全会一致で非難決議に賛成したことで、今後の動きには箍をはめられてしまった。要するに今後の制裁案には拒否権の行使は封じ込められてしまった。

 最後にテレビで北京特派員の解説を聞いて驚いたことがある。中国では今回の国連での日本案を巡る攻防は一切報道されていないという事実だった。真実を国民に知らせない政治体制そのものが、彼らの最大の弱点、急所であることを我々は改めて知った。

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Posted by the_radical_right at 19:40│ mixiチェック │特定アジア(中国・軍拡) 
この記事へのトラックバック
国連・安保理で北朝鮮への非難決議が満場一致で採択されたことで、北朝鮮問題は一服ついた形になったようです。 特に強く主張することもないのですが、この問題に関してはたくさんエントリを立てたので、まとめがないと座りが悪 ??/ 
北朝鮮ミサイル: まとめ。【半休眠ぶろぐ】at 2006年07月18日 10:03
国連・安保理で北朝鮮への非難決議が満場一致で採択されたことで、北朝鮮問題は一服ついた形になったようです。 特に強く主張することもないのですが、この問題に関してはたくさんエントリを立てたので、まとめがないと座りが悪??H
北朝鮮ミサイル: まとめ。【半休眠ぶろぐ】at 2006年07月18日 10:35
この記事へのコメント
瀬戸さんへ

前の記事に続けてコメント返信してもらいありがとうございます。

瀬戸さんの記事をどうやら読み違えていたようですみません。非難決議採決を報道しなかったのかどうかは分かりませんが、日米との攻防だけを報道していないのであれば、あくまで中国は多国間で協調している(あるいは主導している)というように情報操作をしているように感じます。
Posted by ウィザード at 2006年07月17日 18:13
とおるさんへ
今回の決議は北朝鮮に対して「・・・を求める」となっており、ある程度の拘束力があるようです。北朝鮮がすぐに熱くなって拒否したのは、思うつぼだったのではないでしょうか。福田氏や小沢氏ではどうなっていたか分かりません。議長声明で終わっていた事でしょう。中国の弱点は独裁政権を維持するために汲々としているという事でしょうね。

shudo さんへ
「ならず者」国家を擁護して行かねばならない中国の弱さは、必ずや馬脚を現すことになるでしょう。北朝鮮が増々暴走してくれることを待ちましょう。
Posted by 瀬戸弘幸 at 2006年07月17日 17:01
艦長さんへ
日本企業が安易に中国に進出して行ったつけを払わせられなければ良いのですがね。
Ryo さんへ
日本企業の駐在社員が人質になる可能性がありますね。企業はその時どうするのでしょう。国に頼らないで自分達だけで解決してくれれば良いのですが。無理でしょうね。
MultiSync さんへ
そうですね、そう遠くない時期に人民解放軍は暴走するかもしれません。その危険性を訴えて行くしかないですね。
ウィザード さんへ
拒否権行使をするという中国側の姿勢は報道されていないと聞きました。「北朝鮮非難決議」が中国も賛成して可決されたという事実も報道していないのでしょうかね。
Posted by 瀬戸弘幸 at 2006年07月17日 16:52
共産主義国家、とりわけ中国にとっての政策は工作で維持されているのです。もちろん自由主義の国でも工作機関はあるのですが、これはあくまでも日陰の存在で、そこで起こる事の詳細を国民が知ることもない。
中国では工作は日常茶飯事の事で、国家も国民もこれを共有している。工作とはつまり策略・陰謀と裏切りの世界です。中国人はDNAの中に工作や裏切りの因子を持っている。
とおるさんのおっしゃるとおり、彼らには正論を考えて言う事が本当に苦手なのだと思います。少なくとも世界共通の正論である「人権」について、彼らは何も言えない。自由主義陣営の我々はこの「正論」を前面に押し出して共産勢力と戦う事になるのでしょうね。
Posted by shudo at 2006年07月17日 15:45
ひょっとして、中国の外交能力には欠陥があるのではないでしょうか。
中国は、長い年月、国連安保理の常任理事国でありながら影響力を行使してないように思えます。(拒否権を持っているので、不利にならないように行使をしていても。)
中国は、スパイ・強要・武力弾圧は得意ですが、独裁国家のシガラミで、正論を考えて言う事が苦手なのではないでしょうか。
Posted by とおる at 2006年07月17日 15:06
もし、親中・媚中派の福田元官房長官や、小沢民主党代表が、北朝鮮のミサイル発射頃に、政府の要職を占めていたなら、今回のような安保理の非難決議は期待出来たのでしょうか?
おそらく、中国の意向を気にして、中国が当初言っていた「議長声明」に落ち着き、北朝鮮への影響力を中国に期待し、中国に借りを作る事になっていたのではないでしょうか。
Posted by とおる at 2006年07月17日 15:01
マスコミ(テレビ)では、「制裁決議を失敗した」というような宣伝をしていますが、外交なので、譲る所は譲り、得る所は得るという損得勘定も出来ない連中が多いようです。
中国に譲歩した「7章の削除」は、中国の顔を立て易いようにしたと思えば十分です。(最初から妥協点を考えて値段交渉をするよりも、吹っかけておいて値切るのは世界の常識です。中国の迷走ぶりも世界に暴露してしまいました。)
米国のボルトン大使が、「7章を削除しても拘束力は持たせる事が出来る」の意味を理解していないテレビ局は、一度職場を離れて、勉強し直す事を勧めます。
Posted by とおる at 2006年07月17日 13:34
中国が非難決議採決を報道しなかったことで、今回の結果が中国にとって好ましくないものだったのを裏付けるような形になってますね。
Posted by ウィザード at 2006年07月17日 00:49
「中共のアキレス腱は隠蔽体質」当にその通り、しかしそれは暴走という危険性にも通じます。

日本は危険を承知しつつ体制を固めなければ潰されてしまいます。

まずは政治体制。
我々有権者が阿部、麻生、中川といった「日本を自立可能とする政治家」に明確な支持を与え。事なかれ主義の売国、左のお花畑、外国人或いはマスコミ面したスパイの暗躍や煽動を許さない事です。

それほど遠くない時期に来る「現実に実力で対峙しなければならない事態」これへの覚悟も次第に必要と成ります。
Posted by MultiSync at 2006年07月16日 22:32
閉鎖的な社会構造は常に弱点ですね。

以前瀬戸さんがおっしゃっていた(たしかそうでしたよね)中国にある日本企業が人質になる。というのもやはり現実味がある気がします。少なくともカードの一枚としては。

経済効率は良いのだろうけど、工場などを一カ所、一国に集中するのはリスクが大きいと思う。企業にとっては仕方がないのかもしれないが。

さて 今後どうなることやら...
Posted by Ryo at 2006年07月16日 20:42
ジワジワと中国が息絶えようとしている。そしてロシアも・・・今、思ったことですが、中国が倒れると日本も経済的に打撃を受けると思います。中国には、ユニクロや、Nationalなど多くの日本企業の生産がストップすると思います。
Posted by 艦長 at 2006年07月16日 20:31