偽装マンションを担保したローン会社の
「貸手責任」を不問にするのか?
耐震偽装マンション問題で、政府は公費負担による住民救済を決定した。この問題では地方自治体が問題のマンションを買い取り、解体して立替え再び住民に販売するという方法が取られる。
この問題は先ず人命尊重という観点から急を要するということで、対策が先行するのはやむ得ないと思う。しかし、この結果責任を誰を負うのかという点だけは明確にしなくてはならない。
何故ならば、当面の資金は国民の税金でまかなわれるからだ。これまでのマスコミ報道などによれば、この結果責任を負うのは次のように分かれる。先ず設計図を改竄した姉歯建築士とそれを強要したと思われる施主並びに販売会社。この三者の責任は免れない。
次にこのデタラメな建築物の工事を認可した地方自治体と確認事項の事務を委託されていた民間の検査機関。自治体の確認作業と許可は国の委託業務ではないにしても、民間委託の検査会社は国土交通省の監督下に在るわけだから、当然のごとく国の責任もある。
そしてマスコミなどでは購入した住民の責任もある程度はあるとしている。これも他の物件よりも割安なマンションという宣伝を信じて購入したわけだが、その購入に際しての自己責任は否定出来ない。
デタラメな物を作った業者、それを検査で見抜けなかった行政と検査機関、それに購入者の自己責任の三つに大きく分けられている。
ところで、マスコミや世間は全く触れないが、私はもう一つの重大な責任を持つ会社をここで上げておきたい。それはこのマンションを担保にしておカネを貸した金融機関の存在である。銀行や住宅ローンの会社については、その責任を問う声は今の所不思議にも一切聞こえてこない。
では、これらの金融機関にはどのような責任があるのか?それは「貸手責任」である。私は昔から金融機関の「貸手責任」について追及してきた一人でもある。
金融機関は担保を取る場合には、それなりの調査をして、物件にそれだけの価値があるかないかを判断する。殆どが自前でやる場合が多いが、不動産鑑定士に依頼する場合もある。また住宅ローンを利用する場合は保険に加入させられる。この時も建物の査定は行なわれる。
これらの金融機関はそこまでは知らなかった。というであろう。しかし、この知らなかったというのは、ある意味で検査機関や購入者と同等の言い訳でしかない。
法律はなぜに存在するかといえば、社会の公正と公平を守るためにある。我々の住む社会は法治国家である。常に法によって守られ、また守らなければならない。
何故最後にこんな文章を書くかといえば、今回の問題はある意味で法律を無視した“超法規的な処置”であり、公平を欠くものであることは明白だからだ。住専処理の場合のように、公的な資金が行政の尻拭いや大企業の責任逃れのためにだけ使われてはならない。
これが今日の日本社会の実態である以上、住民救済と言う美名の下に全てが許されるようなことがあっては絶対ならない。
