フランスでの移民暴動によって我が国では外国人労働者の導入に慎重な姿勢を示す向きが一段と強まりつつある中、移民政策の推進を説く者らの動向に注意しなければならない。
移民政策を推進する向きは政財界をはじめ人権派・市民派を称する知識人、学者の中にいくらでもいるが、その一挙一動が世間の注目と支持を集め、「ポスト小泉」の呼び声も高い現東京都知事・石原慎太郎氏の存在を外すことは出来ないだろう。
ここでは議員時代より移民政策に言及した石原慎太郎氏の発言を糾すことを主題としているが、同時にそれは石原氏に対する熱烈な支持でもあるとご理解頂ければ幸甚である。
石原慎太郎が育った町
神奈川県・逗子―。
少し以前になるが、探訪がてらにこの町に二度ほど赴いたことがある。石原氏の原作『弟』がドラマ化され、その舞台となったことでご存知の方も多いだろう。
そこは言うまでもなく石原氏が少年期を過ごした地であり、政治家として、または作家として、あるいは思想家としての「石原慎太郎」を醸成した原点を一端でも知ることが出来ればと思ったからだ。
電車にて神奈川県入りし、横浜を過ぎる―。
横須賀に米軍基地があるためだろうが、車内でも米軍関係者と思しき外国人の姿がよく目につく。黒人の父親と日本人の母親に手を引かれる少女…リュックを背負った白人の少年…制服姿の米軍将校…女性兵士もいる。
逗子に着いて思ったことは、見知らぬ人間に対しても気軽に声をかける気風・気質があるということだった。港が近く、昔から外国人の往来があったことに加え、米軍関係者がいることが多分に関係しているのだろうか。
バスに乗り継ごうと路線図を見ていると、老女が気さくに話しかけてきた。
「このバスは○○方面に向かうのよ。祭日は本数が少ないんじゃないかしら」
東京では一度もなかったことだ。
海沿いに位置するレストランに入っても同様にそれを感じた―。
チェーン店『デニーズ』でウェイトレスが注文をとりに来る。接客態度は東京のそれと何ら変わらないが、どこか親近感をもって接してくれた。レジで勘定を終えた時も店員が「有り難う御座いました」の後に��何か一言�瓩鬚�けてくれる。
「お車でお越しでしたか?」
単に店員と客の間で交わされる言葉の他に、自然体でそこに会話が生じる。これも東京ではまずなかったことだ。
読売会館で開催された治安問題のシンポジウムで石原慎太郎氏が語っていたことを思い出す。
「泥棒に狙われやすい町というのは住民同士が挨拶を交わさない町だ。対して泥棒に狙われにくい町というのは住民同士がきちんと挨拶を交わしている。
僕は思うんだけど、同じ日本人同士なんだからねぇ、何かこう…『どうしたの?』とか、気軽に話しかけることをしても良いと思う」
海岸通りで太陽に照らされ、眩く光る海面を見ながら思ったことは「やはりここは石原慎太郎が育った町である」ということだった―。
田舎だが、どこか開放的で言ってしまえば余所者を受け入れる土壌がある。しかし、逆に言えば、余所者に気軽に声をかけるということは警戒感を忘れていないということだ。東京など都会の場合、こうした地域性が失われたことが犯罪者が跋扈しやすい状況を生み出したと言えよう。
さて、我が国が外国人労働者導入に踏み切るに際し、中国のように犯罪者予備軍など不穏な連中ばかりを送り込んでくる国に対しては「いつでも戦争をする」という実行力が要求されるが、そうした強硬姿勢を常々示すのが石原氏だ―。
憲法改正の必要性を述べた石原氏に対し、社民党の福島瑞穂が「戦争をしているわけでもないのに…」と反論する。すかさず石原氏は「戦争は既に始まっている」と断じ、北朝鮮からのテロ工作(覚醒剤密輸)の事例を挙げた。
さように「強い国家」であることは移民政策を行なう上での前提条件とさえ言えるが、共産中国に加え、北朝鮮までが核保有を宣言した今日、周辺国との戦争は核武装さえ視野に入れねばなるまい。
国家の尊さと国防の重要性を説く時、石原氏が弄する過激なまでの言辞は多くの人を頷かせるが、我が国にそれを実行する力が現実のものとして備わらない以上、移民政策をはじめ諸々の国家理念や国家方針も所謂、絵空事に過ぎないのである。
以前、ある勉強会の席上で話が移民政策の議題になった折、国際政治学者の藤井厳喜氏に「石原氏の移民政策についてどう思うか」を問いただしてみた。藤井氏は即座に「反対です。石原氏は軽率な発言をした」と述べてくれたのだが、我が国の保守と称される層の識者が何を憚ってか、石原氏の移民発言に異を唱えないのか、慨嘆している。
然るに、ある種、諸刃の剣ともなりかねぬ石原氏の発言を支持するとともに時に厳しく批判することさえ厭わぬというのが我々『極右』が位置すべきところだと信じてやまない。これこそが国民の総意であると同時に、世論の畏怖心が最たる形で噴出したものであるということを―。
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